王院長は事務室を出ると、先ほどの大言壮語を後悔し始めた。
夕ねえさんがくれた本のリストの中に、確かに一冊持っているものがあったが、その本は彼が苦労して手に入れたものだった。
他人に一目見せることさえ惜しいほどだった。
自分でさえ、普段読むときは宝物のように扱い、香を焚いて手を清め、慎重に取り出し、本が少しでも傷つくことを恐れていた。
この時、彼は隣の本棚に歩み寄り、その本を見つめながら、歯を食いしばって惜しむような態度を見せた。
彼の大学院生が我慢できずに口を開いた:「先生、何をされているんですか?」
王院長:「……子供を手放さなければ狼は捕まらない!」
大学院生:「…………」
どの狼を捕まえようとしているんですか?
王院長はそう言うと、思い切って歯を食いしばり、その本が入った小箱を取り出した。箱には鍵がかかっていた。