薛夕がそう考えた瞬間、岑白が顔を上げ、ため息をつきながら言った。「そうです。私の異能は、モテ体質なんです。」
薛夕:「…………」
岑白は少し気まずそうに咳払いをして言った。「小さい頃から、私は簡単に他人の好意を得ることができました。何もしなくても。後になって、これが私の異能だと気づいたんです。」
「…………」
薛夕はその顔をじっと見つめ、長い間黙っていた。
確かに、この異能はアイドルスターに適している。
岑白も嘆息しながら言った。「夕さん、そんな目で見ないでください。私にも仕方がないんです。この異能は、制御できないものなんです。馮さんは拘束されたんですよね?」
薛夕は一瞬止まった。「どうしてそれを?」
岑白は笑った。「馮さんがグループを退会しましたから。」
退会した……
薛夕はこの細かい点に気づいていなかった。彼の言葉を聞いて、リーダーグループを開いてみると、確かにメンバーが一人減っていた。
なぜか、彼女の心も少し空っぽになった気がした。
そして、彼女の脳裏に突然、以前季司霖が彼女に話したことが浮かんだ。かつて、全能スーパースターがグループで一言言うと、グループのメンバーが一人減るということがあった。
そして葉萊もグループから追放された一人だった。
つまり、おじいさんが正気だった時も、超能力者だったのか?おそらく、おじいさんは馮省身と同じように、高知能の超能力者だったのかもしれない?
彼女がそう考えていると、岑白が口を開いた。「馮さんは頭を使わなければ、異能を使用しなくて済みます。でも私は……顔を隠して生活するわけにもいきませんからね。この顔が私の異能なんです。皆が私を好きになるのを制御できないんです。本当に困ったものです。」
薛夕は口角を引きつらせた。
困ったと言いながら、あの得意げな表情は腹立たしい……
岑白はまた笑って、手に取った急須で薛夕にお茶を注ぎ、自分にも注ぎながら言った。「実を言うと、私のこの異能は本当に役立たずで、何の役にも立ちません。だからリーダーグループの中で、私が一番安全なんです。」
薛夕:「…………」
なんという理不尽な優越感!
彼女はため息をつき、さらに好奇心から尋ねた。「じゃあ、あなたの代償は何なの?」
代償という言葉に、岑白の手が少し止まった。