第709章 さようなら、遥か彼方へ

葉儷と薛晟は向淮の方を見つめていた。

先ほどは向さんが向淮に対して失礼な口調で話していたので、薛晟は庇おうとしただけだったが、今この瞬間、その言葉の中に違和感を覚えた。

なぜその叱責の口調に、愛情が混ざっているのだろうか?

向淮と向さんは...知り合いなのか?

同じ「向」姓...もしかして、向淮は向さんの遠い親戚の甥とかなのか?

それなら納得がいく!

結局のところ、向淮があんなに若くして財神グループの創設者になれたのは、誰かが後ろ盾になっていたとしか考えられない!

葉儷も薛晟と同じようなことを考えていたが、この時まだ頭が整理できていなかった。小向くんが以前から林婧と知り合いだったのなら、なぜ最初に会った時、林婧と小向くんはお互いを知らないふりをしたのだろう?

それに、林婧は自分の息子を紹介すると言っていたのに、その息子はどこにいるの?