電光石火の間に、薛夕はこの學習の意味を理解した。彼女は信じられない様子で向淮を見つめ、口を開きかけては止めた。
小さな子の様子を見て、向淮は考えた。他人の異能を複製するなんて、確かに強すぎる。きっと自分の強さに驚いているんだろう?
ほら、興奮のあまり言葉も出てこないようだ。
そのとき、彼はついに薛夕のゆっくりとした、やや興奮した声を聞いた。「じゃあ、私は世界中の異能を全部學べるってこと?」
向淮:?
なぜかこの言葉の重点が、「學ぶ」という字にあるような気がする。
もし向淮のこの心の声を葉儷が聞いたら、きっと口角を引きつらせながら、娘婿に「自信を持って、『ような』なんて言葉は要らないわよ」と告げることだろう。
向淮が躊躇している間に、薛夕は深く息を吸って言った。「数学の先生が拘束されてから、最近は學びが進んで、少し悟るところがあって、数学科の難問もちょっと簡単に感じるようになってきたの。これからの人生で學ぶものがなくなるんじゃないかって心配してたけど、これで安心だわ。」
世界中にはたくさんの超能力者の異能を學べるなんて、本当にワクワクする!
向淮:「…………」
まあ、さっきは確かに考え過ぎなかったな。
彼は無奈に首を振ると、薛夕がまた躊躇い始めるのを見た。「でも今の私、その異能を覚えたけど、どうやって使うの?」
前回、小さな炎を救うために飛び上がった時のことは、すっかり忘れてしまっていた。
異能をどう発動させればいいのか、まったくわからない。
景飛の言う通り、雑念を捨てて、「飛ぶ」という一つの考えだけに集中しても、飛べない。
そして今、方怡の異能を學んだけれど、どうやって使えばいいのだろう?
向淮は前方を見つめながら、ゆっくりと口を開いた。「君は小さい頃から異能を抑制する薬を飲んでいたから、通常の状態では異能を使えない。前回小さな炎を救った時は、緊急事態で、異能を使いたいという思いが強すぎて、一時的に制限を突破できたんだ。今は僕が君と一緒に生活しているから、状態は徐々に改善されるはずだけど、具体的にいつ異能が使えるようになるかは、薬が抜けるのを待つ必要がある。その時間は長くなるかもしれないし、短くなるかもしれない。その時が来たら、君の体に変化が現れるはずだ。」
薛夕:「……わかった。」