クロネコさんは怯えきっているようで、体が震えていた。その様子を見て、薛夕は少し心が痛んだ。
特殊部門では、このクロネコさんは口が悪く、いつも人を見下すような態度をとっていたが、それでも彼女は「仲間」だった。
薛夕は眉をひそめ、もう一度彼女の毛を撫でた。
これ以上質問するのを控えた。この猫が病気になってしまうのが怖かったからだ。ただ彼女を慰め続けていると、クロネコさんは徐々に震えが収まり、普通の状態に戻ってきたようだった。
しばらくして、クロネコさんはようやく小さな声で話し始めた。「夕さん、この人は危険です。絶対に近づかないでください。」
薛夕は眉をひそめた。「一体どうしたの?」
クロネコさんは歯ぎしりしながら言った。「とにかく覚えておいて、彼は狂人よ!」
そう言うと、クロネコさんはもうそれ以上話したくないような様子で、薛夕のベッドの隅に身を寄せ、体を丸めた。