第802章 女王

超能力……

薛夕は眉をひそめた。

彼女はもともと景飛が言っていた、一つの名前だけで人を誘惑できるものが何なのか理解していなかったが、今、この太った男の答えを聞いて、突然理解した。

実際、異能も超能力も、ただの名前に過ぎない。

しかし異能は、ただ人と違うということを示すだけだが、超能力は、根本的に人を超越していることを示している!

超能力者自身には優越感がある。特殊部門は皆に能力が大きければ大きいほど、責任も大きくなり、この能力を使って国を守り、人々を守ることは栄光だと思わせている。

しかし超能力は……人を自己中心的にさせる!

考えてみてほしい、時間を停止する異能を持つ劉韜は、時間を止めさえすれば、何でも思いのままにできる。人々の命は彼にとって、蟻のように、取るに足らないものだ。

警察は彼を捕まえられず、超能力者でさえ対処できない。

これは彼をどんどん傲慢にさせ、最終的には自分がこの世界の王だと思い込むようになる!

考えてみてほしい、あなたが超能力を持ったとき、人類に奉仕したいと思うだろうか?それとも人類をあなたの足元にひれ伏させ、崇拝させたいと思うだろうか?

誰もの心の奥底には、王者の夢があるはずだ!世界で最も強大な貴族になりたいという!

超能力組織……

名前は少し二流に聞こえるかもしれないが、確かに人の心を突く!意志の弱い超能力者を誘惑する!

だからこそ、ただの名前だけで人を誘惑できるという言い方があるのだ。また、特殊部門が秘密組織の名前を厳しく管理しているのも当然だ。この名前が出れば、確かに世界中の超能力者に、多かれ少なかれ動揺を与えるだろう!

薛夕が考えていると、太った男がまた口を開いた:「薛夕、君は特殊部門が本当にすごいと思っているのか?しかし私が知る限り、特殊部門の中ではそれほど自由ではない。監察部門の設立は、人間を超能力者の上に置くためだ。

向帥でさえ、監察部を排除するために知恵を絞り、さらに彼の父親の権力を使って圧力をかけ、ようやく今の特殊部門に活力と自由をもたらした。

しかしこれは華夏だけの話だ。向帥と彼の父親は世界でも特別な存在で、向帥の指導の下で、特殊部門はあらゆるものを超越する存在となり、待遇は最高レベルだ。