第822章 今夜の銀河は絢爛（1）

皆が自分を見ていることに気づいた劉依秋は緊張して唾を飲み込んだ。以前はあんなに優雅で上品だった人が、今や目に恐怖の色を浮かべていた。

彼女は口を開く勇気がなく、一言も発することができなかった。

向淮がゆっくりと尋ねた。「早く事の経緯を話したらどうだ！」

さらりとした一言だったが、劉依秋は震えた。彼女は急いで口を開いた。「私、私は...あの時は母に強制されたんです。これは全て私とは関係ありません。後で子供があまりにも可哀想で、無実だったので、一時的に心が柔らかくなって、手を下せなかったんです...」

彼女の声はだんだん小さくなっていった。彼女を見つめる人々は今は何も言わなかったが、皆の目には嘲笑と了解の色が浮かんでいた。

彼女はすぐに口を閉じ、それでも真実を話した。「実は、当時子供が病院から盗まれた後、溺死させるつもりでした。それで私たちは人が通らない部屋で、桶を見つけて、彼女をその中に投げ込みました。」

彼女は薛夕を見た。「そ、その後、5分ほど経って、子供はもう死んだだろうと思い、その大きな桶の側に行ったとき、子供がいなくなっていたんです！床には水の跡がありましたが、監視カメラを調べ、長い間探しても、彼女を見つけることができませんでした！」

彼女は目を見開いた。「だから母が尋ねてきたとき、私、私は彼女はもう死んで、埋められたと言ったんです...」

向淮は薛夕の耳元に近づいた。「それは恐らく隠れる能力を持つ超能力者が、君を救ったんだろう。」

薛夕はうなずいた。「たぶんそうね。」

二人がこの言葉を言い終えると、薛晟と葉儷を一瞥して、それ以上は何も言わず、部屋から出て行った。

彼らが去った後、林婧と向おとうさんも続いて出て行ったことに気づいた。この休憩室を薛晟の家族に任せ、この件を処理させるためのようだった。

薛夕は処置の過程に参加しなかった。

ただ、30分後に警察が来て、彼らは階段を上がり、劉依秋を連行した。劉依秋は一言も叫ぶ勇気がなく、黙って警察について行った。

彼らが去った後、10歳も老け込んだ薛おじいさまが出てきて、顔色の青白い、よろよろとした足取りの奥様を連れて出てきた。二人は他の人と顔を合わせる勇気もなく、しょんぼりと立ち去った。