この夜、薛夕は自分が夢を見ているような気がした。夢の中で、彼女はまるで一枚の小舟となり、荒れ狂う海の上を漂っているようだった。
彼女が知っている向淮は、普段は口では彼女をからかうことが多く、その威厳は人を圧倒するものだったが、本質的には風格のある、自制心の強い男性だった。
しかし今夜の彼は、まるで体内の野獣を完全に解き放ったかのようだった。
薛夕がベッドに置かれた時、彼女のドレスはすでにジッパーが開かれ、移動する途中で床に落ちていた。
彼女の身体には少しぴったりとした白い絹のスリップだけが残っていた。
スカートはとても短く、太ももの付け根だけを隠していた。
部屋は暖房が入っていたが、ベッドのシーツにはまだ少し冷たさが残っていた。背中には冷たいシーツ、前には向淮の熱い体が—
薛夕がぼんやりしている間に、男性はすでに彼女に覆いかぶさっていた……
薛夕が何かを言おうとした瞬間、唇は再び男性に捕らえられた。今回の彼のキスは激しく、力強く引っ張るように、まるで彼女を丸ごと飲み込もうとするかのようだった。
薛夕は一瞬、彼の勢いに怯えた。
しかし次の瞬間、彼は彼女の脚を持ち上げた……
薛夕は電気に触れたかのように、全身が震え、これまで感じたことのない空虚感が心を襲った。それはまるで巨大な図書館に向き合い、そこに自分の知らない知識がすべて詰まっているときのような渇望だった……
まるで空っぽになった倉庫に、急いでまた荷物を運び込むかのようだった。
触れ合い、引き裂き、そして最後に、彼らがついに素直に向き合ったとき—
向淮は突然動きを止めた。彼はかすれた声で、我慢しながら口を開いた。「小さな子、どんな味が好き?」
薛夕:?
彼女はぼんやりとした意識の中で目を開けると、ベッドの横にまだ小さな棚があり、その上にはびっしりと、かつて雑貨屋にあった「風船」が並んでいるのが見えた。
その時、彼女の頭はすでにぼんやりしていて、大きな目で呆然と向淮を見つめていた。男性は小さく笑い、彼女の頭を撫でると、長身を起こして歩いていき、その中からあれこれ選び、最終的に「イチゴ味」の風船を決めた……