「プッ!」
銃弾が人体に入る音が響き、皆が思わず目を閉じ、薛夕の苦痛に満ちた表情を見る勇気がなかった。
しかし、方怡の苦痛に満ちた悲鳴が聞こえた。「あっ!」
皆が再び見ると、銃弾がいつの間にか向きを変え、方怡の膝を貫通していたことに気づいた。
方怡は薛晟の膝を撃ち抜いたが、今度は銃弾が戻ってきたのだ……
皆が薛夕を見ると、彼女はすでに人群れの外にいた。
そして元々誘拐されていた四人の親族も、今はそこに立ち、何が起きたのか分からず茫然としていた。
薛晟の足の傷はすでに治っていた。
明らかに治療が使われ、薛夕に選ばれた異能者は、方怡だったのだ!
そのため今、方怡の両膝は撃ち砕かれ、彼女は地面に膝をついていた!血液が草地に染み込み、彼女は痛みで拳を握りしめていた!!
たった今、薛夕は時空を停止する異能と治療の異能を使ったのだ。