第75章 武術試合【1更目】

「これは私のよ」紅さんは最後の一杯の酒を奪い取った。

  紅さんの手の中のグラスを見て、美女泥棒は非常に不満だったが、強引に奪うこともできなかった。ズルをしたと言えば、彼女も夏天もズルをしていたのだ。

  「ふん、もう知らないわよ、けちんぼ」美女泥棒は背を向けて去っていった。

  夏天もその後立ち上がった。

  「明日もまた来るの?」紅さんは夏天に向かって尋ねた。

  「わからないけど、でもこれからは来ると思うよ」夏天は言い終わるとバーを出た。

  今日彼は古い家に帰った。帰った後、体力をすべて使い果たしてから寝に就いた。天醒決の助けがあり、夏天はすぐに夢の世界に入った。

  翌日の朝早く、徐さんは小飛さんを連れて夏天の住まいにやってきた。

  あなたは私のビッグアップルよ。

  「いとこ、何かあったの?」

  「大学入試が終わったんでしょ?昨夜帰ってこなかったけど、私たち二人で半晩待ってたのよ。お祝いしようと思ってたんだけど」

  「今日用事があって、昨夜は帰らなかったんだ」

  「今夜は絶対帰ってきてね、冰心が直接料理を作るわ」

  「わかった」

  夏天は電話を切った後、徐老の車に乗った。

  小飛さんとは数日会っていなかっただけだが、小飛さんの変化は大きかった。ナイキのスポーツウェアを着て、表情は無表情だった。

  「小飛さん、最近どう?」

  「まあまあです」

  「無理しないでね」夏天は小飛さんに対してあまり感情はなかったが、小飛さんは彼の最初の弟子だった。

  「早く師匠のお役に立ちたいです」小飛さんは無表情で言った。

  「僕を助ける?君の運命は君自身のものだよ。自分の好きな道を歩めばいい」夏天が小飛さんに武芸を教えた理由の一部は、小飛さんが彼の子供の頃と似ていたからだった。

  違いは、彼の父親が小さい頃から多くのことを教えてくれたのに対し、小飛さんが身につけていたのは野性だけだった。

  小飛さんは何も言わなかったが、彼の心の中ではすでに決心がついていた。

  車は綠林山莊に向かって走っていった。

  綠林山莊は街中にはなく、海辺に近い庄園だった。この庄園の中には主に緑の林が植えられていた。