浮浪者は夏天を信じられないような顔で見つめた。
「俺にくれるの?」
「要るかい?要らないなら他の人にあげるよ」
「欲しい、もちろん欲しいよ」
「早く乗って行かないと後悔するぞ」
浮浪者はすぐに立ち上がった。そう、彼は立ち上がったのだ。もう一方の足が不自由なのは嘘で、彼はひょうたんの蓋の上にうつ伏せになり、片足を下水道に入れていたので、外から見ると片足が不自由に見えたのだ。
夏天の言葉を聞いて、彼は飛ぶように走って赤いBMWに向かった。
自分の席に戻った汪念林の顔色は青ざめていた。
「バカ野郎」夏天は顔も上げずに言った。
「誰を罵ってるんだ」汪念林は夏天を睨みつけた。
「誰彼構わずバカ野郎って呼ぶと思ってるのか?お前の面子を立てて、バカ野郎って呼んでやったんだぞ」夏天は真面目な顔で言った。