第109章 霊活な太っちょ【第3更】

竹下大郎は威厳を示すためにそうしたのだ。彼の弟があんな目に遭わされたのだから、当然これに関わる者は誰一人見逃すわけにはいかない。

  事実、彼はそれを実行した。

  今の葉子旭の顔は涙でいっぱいで、体中の痛みで崩壊寸前だったが、それでも歯を食いしばって耐え、一声も上げなかった。

  「お願いです、彼を助けてください。」高富帥は夏天の側に来て懇願した。

  「助けてやるさ。でもお前のためじゃない。あいつはまだ男らしいからな。」夏天は高富帥を見もせずに、直接葉子旭の方へ歩いていった。今回テコンドー部の指導者は夏天を止めなかった。

  夏天は葉子旭の前に来て尋ねた。「痛いか?」

  「痛くない!」葉子旭は歯を食いしばって耐えていた。彼の顔は汗と涙が混ざり合っていた。

  「男らしいな。」夏天は両手を直接彼の両足に当てた。

  ああ!

  葉子旭の口から悲鳴が上がった。

  「骨を固定できる支えはあるか?」夏天は振り向いて医療チームに尋ねた。

  「あります!」医療チームの人々はずっと側にいた。

  「彼の肋骨を接ぐから、固定を手伝ってくれ。」夏天は両手を直接彼の肋骨に当てた。肋骨は足の骨とは違う。肋骨の中は内臓だらけで、少しでも間違えれば中を傷つけてしまう。

  夏天は慎重に葉子旭の肋骨を全て接いだ。

  医療チームの人々は急いで葉子旭を助け、体の骨を固定した。

  「帰って十分に休養しろ。百日後には回復するだろう。」夏天は葉子旭を見て言った。

  「ありがとうございます。これからはあなたの言うことなら何でも聞きます。」葉子旭は感謝の眼差しで夏天を見た。夏天は葉子旭が後に本当に彼の大きな助けになることを知らなかった。

  「まずは帰って怪我を治してからにしろ。」夏天は微笑んだ。彼は葉子旭の男らしさを尊敬していた。

  「おい、終わったのか?次の相手は誰だ?」竹下大郎はとても苛立たしげに言った。

  竹下大郎はもう長い間待っていた。夏天が接骨するのを見て、彼も非常に興味を持った。世の中にこんな奇人がいるとは思わなかった。素手で直接骨を接ぐなんて。