第233章 神馬二兄弟

その強盗のボスが先ほど人を殺さなかったのは、乗客たちにただ物を取るためだと思わせるためだった。彼らが物を差し出せば、強盗たちは殺人を犯さないと。

  これは彼がよく使う手口だ。人を殺せば、恐怖しか残らず、後で物を見つけるのが難しくなることを知っているからだ。

  彼は最初から飛行機の乗客を見逃すつもりはなかった。

  「え?奴らは人殺しをするつもりなのか?」デブはこの時やせっぽちさんを叩かなかった。

  「兄貴、奴は先ほどあの連中にそう言ったんだ」やせっぽちさんが言った。

  ぱしっ!

  デブはまた一発平手打ちをした。

  「このバカ野郎、やれよ」デブが一発平手打ちをすると同時に、やせっぽちさんは腰から2本の木製飛刀を取り出した。

  ぷすっ!ぷすっ!

  2本の飛刀が2人の強盗の右手を貫いた。デブとやせっぽちさんは同時に地面を転がり、彼らがいた場所は銃弾で貫かれていた。周りの乗客たちは皆遠くに逃げた。

  「やれ、一人も残すな」リーダーの強盗が冷酷に言った。今回は唇の動きではなく、大声で直接言った。

  今度は全員が恐怖に満ちた表情をしていた。

  「お前ら二人、素早く決着をつけろ」話しているのは先ほど箱を取り出した人物だった。

  デブとやせっぽちさんはこの人物の言葉を聞くと、同時に行動を起こした。デブは両足で蹴りを放った。

  強盗たちは銃を構えてデブに向けて発砲した。

  ぷすっぷすっぷすっ!

  その時、やせっぽちさんの手にある木製飛刀が再び強盗たちの右手を貫いた。

  リーダーの強盗は少し驚き、急いで前方の客室に向かって走り出した。そこにも彼らの仲間がいた。

  同時にデブの両足が強盗たちの体に蹴りを入れた。数人の強盗は彼に蹴られて地面に倒れ、動けなくなった。

  「お前ら兄弟、奴らの手を全部折って、銃をこっちに投げろ」その人物が言った。

  「首長、命懸けの仕事は俺たち兄弟でいいんだ。銃なんて何に使うんだ?」デブが言った。

  「神馬二兄弟なんかじゃない、命令だ。銃をこっちに投げろ」その首長と呼ばれる人物が叫んだ。

  「投げりゃいいんだろ」デブは地面にある5丁のサブマシンガンを全てその首長に投げた。