第256章 私は貧乏人です

雷婷は夏天の言葉を聞いて、強く夏天の足を踏みつけた。彼女は夏天と知り合ってまだ間もないが、夏天の戦場での命令違反の才能は本当に大したものだと分かっていた。雷婷は、夏天が本当に何でもやりかねないことを理解していた。

  夏天は微笑んだ。足は痛かったが、彼は初めて象徴的に雷婷を征服したと感じた。

  ショッピングモールに入ると、夏天は周りを見回した。モールの第一層はほとんどが時計や化粧品を売っていた。時計と言えば、夏天は曾柔が自分にくれた時計を思い出した。以前の戦闘の時には着けていなかったが、さっき服を着替えた時にちょうど着けたところだった。

  一通り見回したが、ここには多くのブランドがあったが、夏天はどれも知らなかった。

  「あそこの店に行ってみよう」夏天は言うと、すぐに時計店に向かって走った。自分の時計のロゴとこの店のロゴが全く同じだったのを見つけたのだ。

  この店の商売は全く良くなかった。昼間なのに客が一人もいなかった。夏天が店に入っても誰も相手にしなかった。彼自身もそれを気楽に感じ、自分の時計の価格があるかどうか見てみることにした。

  彼はまだ曾柔がくれたこの時計がいくらするのか知らなかった。

  「夏天、どうしてこの店に入ったの?」兵花雷婷が追いかけてきた。

  「ああ、この時計を探してくれないか。この時計は友達がくれたんだけど、いくらするのか見てみたいんだ。そうすれば心の準備ができるからね」夏天は説明した。

  兵花雷婷は夏天の腕時計を見た。確かにここのブランドと同じだった。しかし、彼女はこの店の時計がとても高価だということを覚えていた。最も安いものでも一萬元以上するのだ。

  どんな友達が、こんな高価な贈り物をするんだろう。

  雷婷もこの店の店員が彼ら二人を相手にしたがらないことに気づいた。彼女にも理解できた。結局のところ、ここの時計は全て一萬元以上するのに、彼女と夏天が着ている服は安物だったからだ。

  ここでスポーツウェアを着ているのは彼女一人だけだろう。そして夏天の服装はさらに奇抜で、服のサイズも合っていなかった。

  言わば、彼ら二人はここでとても奇妙な存在だった。

  「明兄さん、私も伯爵様の腕時計が欲しいわ」甘えた声が入り口から聞こえてきた。