第262章 やせっぽちさんの春

女性兵士を見たとき、猛虎特戰隊の兵士たちは皆黙っていた。軍區には女性兵士もいるが、女性兵士と男性兵士は別々に訓練を受けているため、男性兵舎では普段女性兵士を見ることは少なかった。

もちろん、雷婷は例外だった。通常、女性兵士は男性兵舎に行くことはできないし、男性兵士も女性兵營に行くことはできない。

しかし今日、女性兵士が彼らの宿舎にやってきたのだ。

しかも夏天を名指しで探しに来たのだが、その女性兵士の険しい顔つきを見ると、彼らは良いことではないと思った。

最近、夏天は多くの大きな功績を挙げたが、それは上層部だけが知っていることだった。

他の軍區には伝わっていないはずだった。

しかし、今や女性兵士が直接訪ねてきたのだ。

「夏天はどこだ?出てこい」女性兵士は入り口に立って大声で叫んだ。

「夏天を探しているんですか?」夏天は入り口に向かって歩いていった。

「ああ、夏天はどこだ?」女性兵士はうなずいた。

「夏天は上官のオフィスに行きました。用事があるんですか?呼んできましょうか」夏天はそう言うと宿舎を飛び出した。

「おい、おい、おい!」その女性兵士が何か言おうとしたが、夏天はすでに姿を消していた。

宿舎の中の人々は呆然としていた。彼らは夏天に感服せざるを得なかった。本来なら夏天がこのような状況にどう対処するか見ようと思っていたのに、夏天は逃げてしまったのだ。

夏天は本当に逃げたわけではなく、神馬二兄弟を探しに行ったのだった。

「兄貴、夏天が来たぞ」やせっぽちさんは夏天を見て非常に興奮した。

ぱしっ!

太っちょは平手打ちを食らわせた。「このバカ野郎、俺だって目が見えてるんだよ」

「太っちょ、やせっぽちさんをいじめるなよ」夏天は遠くからすでに太っちょがやせっぽちさんを叩いているのを見ていた。

「夏天、俺たち兄弟に会いたくなったのか?」太っちょは夏天を見てにっこりと笑った。

「本当に二人に会いたかったんだ。ところで、二人とも以前は猛虎特戰隊のメンバーだったって聞いたけど、本当?」夏天は太っちょに向かって尋ねた。

「ああ、俺たち二人は後から転属してきたんだ。今は旅団長の警護員をしてる」太っちょはうなずきながら言った。