第277章 軍営を離れる

「夏天、決心したのか?」師団長は残念そうに夏天を見つめて尋ねた。

  「はい、もう開学なので、学校に戻らなければなりません。これが父の最大の願いでしたから」夏天は微笑んだ。大学に行くのは父の願いだったので、彼は必ず大学に戻らなければならなかった。

  「お前は良い兵士だった。毎日お前が指導してくれたおかげで、我が第一師団の実力は飛躍的に向上した」第一師団は今や軍區全体で最強の師団となっていた。

  新しい兵王は蠻牛さんだ。蠻牛さんは新しい兵王ではあるが、誰もが知っている。この兵王の称号は夏天が与えたものだと。夏天は彼のすべての障害を取り除き、最後の決闘で自ら負けを認めたのだ。

  夏天は分かっていた。自分は兵王という称号に縛られるわけにはいかない。だから兵王の称号を自分の弟分である蠻牛さんに譲ったのだ。

  「私がいなくても、みんなはきっと一番になるでしょう。虎さんが率いる隊に、どうして犬がいるでしょうか」夏天は微笑んだ。第一師団の師団長は虎のようで、その下の者たちも虎だ。出来の悪い犬なんていない。

  「そうだな。時間があったら戻ってきて俺に会いに来てくれ。何か手伝えることがあれば電話をくれ。俺の電話が通じなかったら旅団長に電話しろ。お前たち二人の仲が良いのは知っているからな」第一師団の師団長は嫉妬気味に言った。

  「長官、そんな風に言われると、私と長官の関係が良くないみたいじゃないですか」夏天は微笑んだ。

  「この小僧め。行けよ、お前の戦友たちが待っているぞ。そうだ、旅団長が俺に言づけてた。彼はお前を見送らないって。年を取ったから、こういう別れの感情に耐えられないんだとさ」師団長は言った。

  「はい」夏天はうなずいた。部隊にいた間、旅団長は彼を自分の子供のように扱ってくれた。二人は毎日夜通し語り合っていた。

  外では、猛虎特戰隊のメンバーが全員集まっていた。兵花雷婷も来ていた。

  神馬二兄弟のうち、太った方が来ていて、やせっぽちさんは来ていなかった。

  「夏天、やせっぽちさんが言ってた。沙裡花に殴られて起き上がれないから、見送りには来られないって」太った方が言った。