範進と小飛が入り口にいて、数人の単純な暇人がそこを通ろうとするのは不可能だった。この点について徐さんは自信があった。範進と知り合ったばかりだったが、範進の実力は小飛に劣らず、さらに訓練を受けた全能型の人材だった。
今、レストランの入り口は暇人の一団に塞がれていた。全部で十数人おり、その男性俳優と女性俳優がその暇人たちの後ろに立っていて、非常に傲慢な態度だった。
「お前らには関係ない、みんな退け」その男性俳優が大声で叫んだ。
「ここは天禧門だ。こんな大勢で来ているのは食事をしに来たようには見えないな」範進と小飛の後ろには数人の警備員が立っていた。
「確かに食事をしに来たわけじゃない。今日は中にいる一人を連れて行く」その男性俳優は恐れるものなしに言った。これだけの人数を連れているので、数人の警備員など恐れるはずがなかった。
範進と小飛については、彼はこの二人を警備員の長と思い込んでいた。
彼の目には、警備員の長も所詮は警備員に過ぎなかった。
「ここは天禧門だ。事を起こそうとするなら、手加減はしないぞ」小飛は冷たく言った。
「この野郎、お前一介の警備員が俺に生意気な口を聞くな。俺は一本の映画で稼ぐ金がお前の一生分より多いんだぞ」その男性俳優は非常に傲慢に言った。彼が最も軽蔑していたのが警備員やウェイターのような職業だったので、小飛に対して丁寧な言葉遣いをする気も起こらなかった。
「通れないと言ったら、通れないんだ」小飛は冷たく言った。彼の目は野獣のようで、その男性俳優をじっと見つめていた。
その男性俳優は小飛に見つめられて野獣に睨まれたような気分になったが、周りの暇人たちを見て自信を取り戻した。「警告しておく。すぐに退かないなら、お前もろとも潰すぞ」
「やってみろ!」小飛は相変わらず冷酷で、その目つきは相変わらず恐ろしく、まるで飢えた狼のようだった。
「行け、みんなで行け、こいつを潰せ」男性俳優は周りの暇人たちに言った。
その暇人たちは直ぐに前に進み出た。
数人の警備員も前に出ようとしたが、範進に止められた。「見ていればいい。こいつらは俺と小飛で十分だ」
「誰が早く倒せるか勝負しようぜ」小飛は冷たく言った。彼は誰に対してもこんな調子で、徐さんや夏天に対しても同じだった。