第345章 金銭飛刀

「でたらめを言うなら帰るわよ」林冰冰は不満そうに言った。

「本当のことを言っているんだ。僕の体内には吸血鬼の素質があって、僕の血を飲ませたのは君の体に変異を起こさせるためだったんだ。今の速度と力、君も感じているだろう?これからは気をつけて、能力を乱用せずに、うまくコントロールできるようになってほしい。もし君が機関術を習得できれば、今の能力と合わせて、間違いなく達人になれるはずだ」夏天は既に機関術の凄さを目の当たりにしていた。

あの縫い針が致命的な武器となり、さらに夏天は機関術にはもっと凄いものがあるに違いないと推測していた。

「うん、今回は本当にありがとう。どうお礼を言えばいいのか分からないわ」林冰冰は再び感慨深げに言った。どう考えても今回のことは夏天に心からお礼を言わなければならないと思った。夏天がいなければ、九つの命があっても足りなかったはずだ。しかも夏天は命がけで彼女を救ってくれた。

「それはもう何度も聞いたよ。その代わりに体で払ってくれないか」夏天は言った。

「もう相手にしないわ。機関術の勉強するから」林冰冰は夏天を睨みつけると、一人で脇に座って機関術を学び始めた。病室を出ることはせず、夏天の傍にいることを選んだ。

夏天の怪我は全て彼女のせいだから、ここで夏天を守護しなければならないと思った。

夏天は林冰冰を邪魔せず、黄表紙を開いた。手で慎重に触ってみたが、これが一体どんな動物の皮なのか分からなかった。

本に書かれている文字さえも古代の文字だった。

書名は金錢飛刀だった。

夏天は飛刀を手に取って見てみた。この飛刀は恐らく本に書かれている金錢飛刀だろう。

金錢飛刀の由来については本には書かれていなかった。

しかし本には飛刀の使い方が紹介されていた。この飛刀は表面上見えるほど単純なものではなく、飛刀全体が攻撃に使え、飛刀を繋ぐ金の糸さえも殺人の武器となる。

夏天が柄の部分の細い糸を引くだけで、飛刀を繋ぐ金の糸が鋭利無比となり、飛刀は三日月形で、三百六十度回転して攻撃することができる。

完全に死角のない武器だった。

最も重要なのは飛刀自体にも秘密が隠されていることで、夏天が柄のもう一本の細い糸を引くと、飛刀は三つに分かれ、まるで扇子が開かれたようになる。