第322章 ベンツレディ

先ほどまで夢を語り合っていた男たちが、今や発情した狼と化し、最も寡黙だった四さんの陳井までもその闇の性格を露呈させ、夏天は完全に呆気に取られていた。

ポジティブなエネルギーに満ち溢れていた連中が、女性の頭の中にある金持ちや大弁護士、数学者の話を聞いた途端、それらを全て忘れ去ってしまった。

夏天はこの時、紂王や吳三桂たちがなぜ一人の女性のために天下の運命を変えることができたのかを、ようやく理解した。

結局のところ、それは「下半身の虫に支配された」という一言に尽きる。

彼らは自分の魅力で女性たちを口説こうとしていた。夏天は軽蔑的な目で彼らを見て言った。「俺はこんなにイケメンなのに、魅力で女を征服しようとは思わないのに、お前らときたら自惚れてるな」

「三さん、俺の髪型、外で整えた方がいいかな」大さんの劉青雲は櫛で髪を何度も梳かし、静電気が起きるほどだった。

「三さん、もっとキチンとした服装の方がいいかな、スーツとか?」二さんの趙前程は服をたくさん持っていて、彼はスーツケースを開けると、中には様々な服が入っていた。

「カッコイイのは、言葉だけじゃない」四さんの陳井は髪をテカテカに整え、どこからか風衣とマフラーを取り出し、眼鏡も大きなサングラスに変えていた。

「許文強!!」夏天は完全に驚愕した。もし四さんの陳井が身長170センチ、体重75キロでなければ、本当にそんな錯覚を起こすところだった。

「四さん、暑くないのか?外は30度なのに、そんな格好して」大さんの劉青雲はもう崩壊寸前だった。

「三さん、お前の服いいな。センスが良さそうだけど、どこで買ったの?」二さんの趙前程は夏天の服装に注目した。

「ああ、友達が買ってくれたんだ」夏天は説明した。今着ているのは昨日姉さんたちが送らせてくれたもので、彼自身もこの服がいくらするのか知らなかった。

「お前のセンスが俺より上とは。ダメだ、もっと派手な服を着なきゃ」二さんの趙前程は服選びを続けた。

「みんな、言っておくけど、コンパは夜だぞ。今はまだ昼飯も食べてないんだぞ」夏天は皆に向かって言った。夏天の言葉を聞いて、皆は手元の作業を中断した。

夏天に我に返った一同は簡単に身支度を整え、夏天と一緒に階下へ向かった。