第437章 殺戮の始まり

夏天の目は頭上の小さな物体に気付いた。それは普通の昆虫ほどの大きさで、飛行音も小さく、素早い動きをしていた。この物体は夏天をかなり長い間追跡していた。

ただし、夏天はずっと気付かなかった。もしその物体の飛行音に電波のノイズが混ざっていなければ、夏天は本当に気付かなかっただろう。夏天の聴覚は一般人の数倍だった。

そうでなければ、彼はこの小さな物体の存在に気付くことはできなかっただろう。

透視眼を開いた後、夏天はついにこれが何なのかを発見した。なんと探知機だった。道中ずっと偵察機を見かけなかったのも納得だ。今回の試合はこの装置で放送されていたのだ。

夏天は先ほどまで、なぜ偵察機が見当たらないのか不思議に思っていたが、これが理由だったのだ。彼は科学者たちの能力にますます感心した。彼らはこのような物を研究開発できるなんて。

こんなに小さいのに、実際の敵との戦闘でも使用できるほどの性能を持っているとは。

夏天は走り続け、その微小な偵察装置を気にしなかった。しかし、この装置の存在に気付いた以上、これからの戦闘では多少の手加減をするつもりだった。本気を出す必要がある時は、この装置を破壊すればいい。

「第十區特別行動部一名脱落、残り九名」

「第十一區特別行動部一名脱落、残り九名」

そのとき、連続して二つのシステム放送が流れ、さらに二人が脱落した。

「脱落率が高いようだな。こんなに早く三人も脱落するとは。七日間で最後まで残るのはエリートばかりだろうな」と夏天は心の中で呟いた。しかし、脱落率がこれほど高いということは、警花さんたちも危険な状況にいるということだ。

だから彼は一刻も早く警花さんの元に駆けつけなければならない。

彼の計算によると、あと30分ほど走り続ければ警花さんを見つけられるはずだ。しかも警花さんは江海市特別行動部の中で最も彼に近い位置にいる。

「何も起こりませんように」と夏天は心の中で祈った。

バン!

その時、夏天は地面を転がって弾丸を避け、その後一本の木の陰に隠れた。

外で戦闘を観察していた葉婉晴は、ついに見慣れた姿を見つけた。夏天だ。しかし画面には青海市特別行動部の一人が夏天を狙っている様子が映し出されていた。