二日目。
5月11日、日曜日。
観湖苑。
家に入った瞬間、方平を除く家族全員の顔に喜びと驚きが浮かんだ。
上階下階、広々としたリビング、陽光溢れるバルコニー、真新しい内装……
何十年も古い家に住み、一階の暗くて湿った環境に慣れていた方名榮夫婦にとって、突然新居に入ると、たとえ集合住宅の内装が普通だとしても、豪華絢爛で贅沢に感じられた。
方圓は興奮のあまり狂ったようになり、入るなりソファーに飛び込んで転げ回った。
そして立ち上がるとすぐに二階へ駆け上がった……
娘の興奮した様子を見て、方名榮の顔に隠しきれない笑みがこぼれた。方平の方を向いて言った。「この家具は……」
「全て安物です。家の内装工事の時についてきたものです……」
方平は自分で買ったとは言わず、両親と一緒にリビングに入り、笑いながら言った。「捨てて新しいものに替えてもいいですよ……」
実際、彼は言っても無駄だとわかっていた。こんなに早く両親を引っ越させる口実ができるとは思っていなかったので、新しく買った家具はまだ使っていなかった。
案の定、李玉英はすぐに嗔むように言った。「全部新しい家具なのに、何を捨てるの!
これで十分よ……」
そう言いながら、李玉英は一階を見回り、口を動かしながら繰り返し言った。「本当に素晴らしい!」
「光も良いし、広々としている。」
「……」
しばらく言い続けた後、みんなで二階に上がった。
二階で、方圓はすでに部屋を選んでいた。両親が上がってくるのを見ると、喜色満面で言った。「方平、私はこの部屋がいい!」
二階には合計2つの寝室、1つのジム、1つの書斎があり、面積はどれも小さくはなかった。
新居の寝室の面積は、古い家よりもずっと広かったが、この時点ではまだ空っぽだった。
前回方平が家具を買った時は、簡単にごまかすために小さなソファーベッドを買って書斎に置いただけだった。
李玉英はそれを聞いて部屋に入って見回し、すぐに娘を叱った。「何の部屋よ、新居には引っ越してこないわよ……」
方圓は一瞬呆然として、顔中に不満の色を浮かべた。
方平も少し呆然としたが、すぐに笑って言った。「お母さん、まさか僕の結婚用に取っておくつもりじゃないでしょう?