「ハァ……ハァ……」
荒い息を吐きながら、方平はようやく白髪の美男子に追いついた。この人の歩みは尋常ではなく、三級武道家の自分でもほとんど追いつけないほどだった。
方平が追ってきたことに、男はもちろん早くから気づいていた。方平が自分の後をずっとついてくるのを感じると、男は振り返って意地悪そうに言った。「まだ空を飛ぶ感覚を味わいたいのか?」
方平は厚かましく笑いながら言った。「それは自分が宗師になってから体験させていただきます。先生、今どちらへ?お送りしましょう。」
「お前が?」
男は笑みを浮かべ、さらりと言った。「言ってみろ。何がしたいんだ?」
「そんなことありませんよ。先生のその言い方はないですよ。」
方平はすぐに否定し、さらに探りを入れた。「先生、あなたと私の指導教官は……」
「呂鳳柔は私のことを話さなかったのか?」
男は歩きながら、軽く笑って言った。「まあ、当然だな。」
「お前はどうだ?誰かから聞いたらしいな。私から何か良いものを引き出そうとしているとか?」
男は意地悪そうに笑い、首を振って言った。「そう簡単には行かないぞ。世の中にタダの褒美なんてないんだ。」
男は歩きながら話し、方平は断固として言った。「先生、それは誤解です。私はただ、指導教官が先ほどこの手紙を取り出したとき、言いよどみ、物思いにふけっているのを見て、私の知っている指導教官とは全く違う様子だったので。
指導教官は私を息子のように扱ってくれます。学生として恩返しをし、指導教官の悩みを解決するのは当然のことです……」
「ハハハ、面白い。」
白髪の男は笑い出し、横目で方平を見ながら言った。「随分と図々しいな。小僧、真面目に修練に励むのが正道だ。こんなことばかり考えるな。お前のやっていることは、私が昔やり尽くした手だ。」
そう言うと、男の姿が一瞬にして消え、方平の目の前から姿を消した。
方平はため息をついた。得るものは何もなかった。残念だ!
……
男の正体について、方平は実際かなり好奇心を抱き、推測もしていた。
しかし呂鳳柔のところへ聞きに行く勇気はなく、男の方も再び会うことはなかった。
それから2日ほど経って、傅昌鼎が秘密めいた様子で情報を聞き出したと言ってきた。