第22章 この人物を何が何でも取り込め!

もし彼らの江城朱家が武道の宗師と仲良くなったら、江城での地位は間違いなく上がるだろう!

  しかも、ここ数年朱家の江城での薬材ビジネスは冴えないし、江南省の朱家はすでに不満を持ち始めている。場合によっては江城朱家という傍系を切り捨てるかもしれない。

  そうなったら彼朱仁德はどうすればいいのだろうか?

  目の前の青年と仲良くなる以外に、いわゆる朱家の傍系が江南省朱家の目に留まる資格はない!

  葉辰は少し考えてから、振り向いて朱仁德に言った。「もし本物かどうか知りたいなら、この絵を降ろして私に渡してください。証明してお見せしましょう。」

  朱仁德はためらうことなく、すぐに人に命じて絵を降ろし、葉辰の手に渡した。

  彼にはよくわかっていた。たとえこの絵が本物だとしても、青年の前では全く価値がないということを!

  「先生、ぜひご教示ください...」

  朱仁德の言葉が終わらないうちに、葉辰はその千万の価値がある絵を真っ二つに引き裂いた!

  この光景に、みんなが驚愕した!

  絵を降ろした警備員は呆然としていた!

  列を作っていた客たちも唖然としていた!

  老人の脈を取っていた老中医さえも、心臓が止まりそうになった!

  くそっ、これは德仁堂の看板商品だぞ!

  お前は勝手に引き裂くのか、相談もなしに?

  引き裂くだけならまだしも、我々の社長朱仁德の目の前でやるのか?

  くそっ、死に方としてもこんなのはないだろう!

  警備員が動こうとしたが、朱仁德に睨まれて止まった。「先生の邪魔をするな!自分の持ち場に戻れ!」

  警備員は「先生」という言葉を聞いて、口角が引きつった。

  くそっ、この小僧は20歳あるかどうかも怪しいのに、朱おじいさまが「先生」なんて敬称で呼ぶのか?

  葉辰は周りの反応など気にせず、絵の隙間から小さな紙切れを見つけ出した。

  紙切れはとても小さく、普通の人では見えないほどだった。

  「拡大鏡で中の文字を見れば分かるでしょう。」

  朱仁德は慎重に紙切れを受け取り、拡大鏡を持ってこさせた。紙切れの中の文字を見ると、彼の老いた顔全体が青ざめた。

  「おじいさま、何が見えたの?」