第36章 誰の手によるものか!

葉辰は朱老が少し忘我の状態になっているのを見て、手を振って注意を促した。「朱老、まだ聞いていますか?」

朱老はようやく我に返り、笑みを浮かべた。「葉さま、単純に収集目的であれば古玩市場で運試しをすることもできます。江城最大の古玩市場は銭江通り2番地にあります。しかし、葉さまが本物の煉丹爐に興味があるのでしたら、オークションに参加されることをお勧めします。

オークションの出品物はほとんどがオークション主催者によって審査されています。お金さえあれば、必ず欲しいものを手に入れられます。一萬年前のものさえ入手可能です。

葉さま、あなたはどちらをお望みですか?前者ですか、後者ですか?」

葉辰は古玩を鑑定する秘法を持っていたが、古玩市場は贋作が多く、本物を探すのは大海に針を落とすようなものだった。今のところ、オークションが間違いなく最良の選択肢だった。

「朱老、私はオークションの方に興味があります」葉辰は正直に答えた。

朱老はうなずき、続けた。「葉さまがオークションに行きたいとおっしゃるなら、ちょうど良いタイミングです。5日後に江城ミレニアムホテルで大規模なオークションがあります。我が朱家も招待されているので、よろしければ葉さまも一緒にいかがですか?」

「それは朱老にご迷惑をおかけすることになりますね」葉辰は手を合わせ、そして何か思い出したように続けた。「朱老、今日はお孫さんにお会いできませんでしたね」

朱老は葉辰が朱子萱のことを尋ねるとは思っていなかった。この葉さまも人情味のない人物ではないようだ。

「少し残念なことに、子萱は今日ちょうど師匠と山登りに出かけていて、夜遅くにならないと帰ってこないんです。本来なら子萱に葉さまにお茶を差し上げて謝罪させようと思っていたのですが、葉さまがここで食事をして待っていただけますか?」

葉辰がここで待つわけがなかった。彼はすぐに立ち上がり、部屋を一周して、昨日の江城イブニングニュースを見つけた。

「朱老、この新聞はもう要りませんか?」

「もう要りません。葉さま、あなたは……」

「朱老、ペンはありますか?」

「ありますよ、葉さま、少々お待ちください」