五分後、夏若雪はようやく服を着て出てきた。リビングにいる葉辰を見て何か言おうとしたところ、孫怡が朝食を持って帰ってきた。
孫怡は葉辰がここにいるとは思いもよらず、不思議そうに聞いた。「あれ、葉辰、外に住んでるんじゃなかったの?こんな朝早くにアパートに来て何してるの?」
葉辰が説明しようとしたとき、夏若雪は急いで彼の口を手で覆い、やや緊張した様子で言った。「こいつさっき、ノックもせずに入ってきて、私を起こしちゃったのよ!」
そう言って、彼女は小声で葉辰に言い添えた。「昨日の夜のことは、誰にも言っちゃダメよ!さもないと...私...」
夏若雪は一瞬どう脅せばいいか分からなくなった。
葉辰は夏若雪の手を振り払い、孫怡から朝食を受け取ると、真剣な表情で言った。「お腹が少し空いてて、朝食を食べてなかったから、ここで食べさせてもらおうと思って。」
孫怡は葉辰が早速食べ始めるのを見て、慌てて言った。「でも、これは夏社長の朝食なんですけど...」
夏若雪は葉辰に紳士的な態度が全くないのを見て、怒って手提げバッグを取り、葉辰を睨みつけながら外に向かって歩き出した。「いいわ、会社で食べるから!」
孫怡は夏若雪が怒っていることを知っていた。しかも夏如雪は今回車も出していなかったし、家族と何か揉めたようだった。彼女は葉辰に二言三言言い残すと、追いかけて出て行った。
「夏社長、待ってください。送ります。」
葉辰は当然、夏如雪のことなど気にしなかった。
朝食を済ませた後、葉辰は再びあの真っ黒な石を取り出し、中に入ろうとしたが、今回は抵抗が少し減ったものの、まだ完全に入ることはできなかった。
「修行を加速させる必要があるようだな。」
丹鼎がなく、湯臣一品に無数の薬材があるとはいえ、葉辰は丹薬の精製に手を付けるつもりはなかった。朱仁德が言っていたオークションを待つしかなかった。
それ以上考えるのをやめ、葉辰は目を閉じ、足を組んで座り、修行を始めた。
彼の周りには無数の真気が漂い、まるで仙人のようだった。