葉辰は当然、夏若雪の身に起こったことを知らなかった。彼はベランダでタバコを一本吸い、孫怡が急かす声を聞いた。
「私は洗い終わったわ。誰が次に入る?」
孫怡はパジャマ姿で、髪がややしっとりしていた。
孫怡はリビングを一周し、夏若雪が部屋にいるのを見つけると、外からシャワーを浴びるかどうか尋ねた。夏若雪は嗄れた声で少し気分が悪いので後で入ると答えた。孫怡はあきらめざるを得ず、葉辰を見て、にこにこしながら言った。「辰ちゃん、今日はラッキーね。二番目よ。早く行って、若雪のためにお湯を残しておいてね。」
葉辰はうなずき、部屋から着替えのズボンを持って、バスルームに向かった。
そのとき、孫怡に電話がかかってきた。
意外なことに、電話は夫婦焼肉の張おばさんからだった。
前回葉辰と食事に行ったとき、わざわざ番号を残しておいた。そうすれば、次回行くときに事前に料理を準備してもらえる。