女性は葉辰を連れて大広間を通り抜け、エレベーターホールに到着した。
指紋と虹彩認証が行われ、エレベーターが開いた。
「葉さま、どうぞ」
葉辰が中に入ると、女性はボタンを押し、扉が閉まった。
空気が静まり返った。
女性が沈黙を破り、突然動いて葉辰の前に片膝をつき、恭しく言った。「殿様、私は鄭可と申します。葉どのの側近です。先ほどは殿様の正体を守るためにあのようなことをしました」
葉辰はうなずいた。「立ちなさい。分かっています」
外の人々は葉凌天の真の中核勢力ではないので、もし裏切られたら取り返しのつかない結果になるかもしれない。
葉凌天と鄭可がこのようにしたのは、自分の身分を守るためだった。
葉辰は、ドアの向こうに必ず葉凌天がいることを知っていた。