第180章 門前に現れる！（推薦チケットをお願いします！）

夏若雪は葉辰を3階の部屋に連れて行った。

装飾や壁の写真から見ると、夏若雪の私室のようだった。

葉辰は笑って言った。「若雪、俺は初めて夏家に来たのに、もう君の部屋に連れて来られるなんて、ちょっと早すぎじゃないか。」

夏若雪は葉辰を横目で見て、不満そうに言った。「どうしてほんとに夏家に来ちゃったの？今は非常時なのよ。こんな風に突然私の家に来るなんて、大変なことになるわ！」

「非常時？」葉辰は眉をひそめた。「若雪、誰かに脅されてるんじゃないか？江南省武道協會？それとも烏家？あるいは秦家？」

秦家という言葉を聞いて、夏若雪の美しい瞳がわずかに縮んだ。

葉辰は心の中で答えを得た。

「若雪、俺を信じるなら、秦家の住所を教えてくれ。この面倒は全部解決してみせる。」

葉辰の声には疑う余地がなかった。

恐れる様子は全くなかった。

夏若雪は一瞬驚き、小さく口を開けたまま、目には困惑の色が浮かんでいた。

彼女はもちろん葉辰を信じたかった。これまでの道のりで、葉辰に立ち向かった者は全て倒れてきたのだから。

しかし、それは江城でのことで、江南省ではない。

葉辰は江南省に来たばかりで、ここの情勢もわかっていないだろう。むやみに秦家に行けば、必ず問題が起きる。

彼女は葉辰に何かあってほしくなかった。

本当に、そう思っていた。

いつからか、夏若雪の冷たい心に、ある人影が現れ始めていた。

その人影が徐々に心を占めていった。

それが葉辰だということを、彼女は知っていた。

何度も夢見ていた。葉辰が江南省で生まれ、秦家と対抗できる勢力や一族を持っていたらと。

そうすれば、躊躇なくあの婚約を破り、葉辰の後ろに立つことができるのに！

しかし、それはただの夢想に過ぎなかった。

葉辰はたった一人だ。江南省に何年も君臨してきたトップクラスの武道一族、秦家に何で立ち向かえるというのか？

葉辰がどんなに強くても、どんなに常識外れでも、それは不可能だ！

秦家と対峙すれば、死ぬしかない。

これは信頼の問題ではなく、冷厳な事実なのだ。