この山は1999年以前、香江の西側に聳え立ち、ずっと普通の山だった。
しかし1999年以降、江道山では多くの大事件が起こった。
百人が原因不明で失踪し、夜には山頂に火が集まり、年中雷電が山頂で渦巻いていた。
このような異象に対し、香江政府も警察も全く対応する気配がなかった。
対処できないのか、面倒を避けたいのか、その理由は分からない。
江道山は当局によって警戒線が張られ、山麓に壁が築かれ、兵士が常駐することになった。
誰も山に登らなければ、誰も怪我をすることはない。これが最も直接的な対策だった。
この数年間、確かに山に登ろうとした者もいたが、数歩進んだだけで両足が同時に骨折した。
恐ろしい極みだ!
それ以来、誰も近づこうとしなくなった。
十数年後の今日、ここは徐々に聖山となっていった。
多くの市民は江道山の異象を見るたびに、平安を祈るようになった。
葉辰はこれらを読み終えると、口元に笑みを浮かべた。これらのいわゆる神秘的な現象は、修行者の目には単純すぎるものだった。
しかし江道山には必ず巨大な陣法があるはずだ。そうでなければ、このような効果は得られないはずだ。
葉辰がタブレットを閉じようとした時、突然、何かに気付いた!瞳に恐怖の色が浮かんだ。
彼は息を荒げながら、江道山の写真を食い入るように見つめた。
写真は空撮されたもので、一見普通の山と変わりはなかった。
葉辰はその写真を限界まで拡大した。ほとんど不鮮明になるまで拡大すると、山上の石碑が見えてきた!
石碑には古い梵文が刻まれていた。
その後、葉辰は父が林家に残した手帳を取り出した。
最後のページを開いた!
彼は驚愕した。父が残した梵文と石碑の梵文が全く同じだったのだ!
この梵文を見つければ、祖父の友人を見つけることができる!
それは彼の出自と葉家の秘密に関わることだった!
「もしかして、あの時祖父が私を香江に連れてきたのは、江道山に行くためだったのか?」
「なぜ祖父はそんなことをしたんだ?江道山に何か秘密があるのか?」
「あるいは輪廻墓地も江道山と関係があるのか?」
葉辰の瞳は深い思索に沈んだ。
霧が晴れたような感覚があったが、瞬く間にまた霧の中に閉ざされた。