彼の瞳には悔しさが宿り、何かを言いたげだったが、口に出したのはただ二つの言葉だった。「ありがとう。」
葉辰は江姵蓉を一瞥し、病床の老人に向かって言った。「あなたは私の祖父です。お礼を言う必要はありません。」
「過去のことは、もうこれで終わりにしましょう。」
この瞬間、葉辰の態度に老人の表情が凍りついた。
彼は震える手で葉辰の手を掴んだ。「何だって...今、私のことを何と呼んだ?」
彼は無理に体を起こそうとし、苦しさと痛みに耐えながらも歯を食いしばって頑張った!
「お祖父さん。」
葉辰は繰り返した。
彼はこの生涯でこの老人を認めることはないだろうと思っていた!
しかし、この老人は自分の命を賭けて母を救った。過去のことは水に流すべきだった。
それに、これが母の願いだということも知っていた。