陸厲沉は軽く微笑み、彼女と一緒にレストランに入った。
支配人とウェイターが続いて、みな大広間へと向かっていった。
陸厲沉と蘇晚晴は大広間に入ると、中央の席に座った。
レストランの支配人が楽師に目配せをすると、優雅な音楽が流れ始めた。
テーブルにはすぐに美味しい料理と誕生日ケーキが運ばれてきた。
ろうそくの光が揺らめき、花が飾られ、雰囲気は素晴らしかった。
陸厲沉が先に箸を取り、「食べましょう」と言った。
傍らの蘇晚晴は嬉しくてたまらない様子だった。これは婚約以来、初めて陸厲沉と二人きりで食事をする機会だった。
彼女は向かいの端正で魅力的な男性を見つめ、必ず手に入れようと決意した。
建前や従順さなど、すべて忘れ去った。
この瞬間、彼女はただこの男性の唯一の人になりたいと思った。