第11章 彼女は早く彼の女になりたがっている

彼女の男を、彼女はまだ触れたことがない。他の女に先に得をさせるわけにはいかない。

葉淇は身支度を整え、ドアを開けて出てきた。蘇晚晴がそこに呆然と立っているのを見て、彼女は無表情で、ゆっくりと階段を降りてきた。

彼女は今日、薄手の白いトップスに、淡いブルーのスキニージーンズを履いていて、さらに彼女のスリムで長身の体型を引き立てていた。

清楚な小顔、輝く大きな目、尖った顎、雪のような肌。化粧をしていなくても、清々しく魅力的な美しさだった。

そばにいた福おじさんは彼女が現れるのを見て、前に出て言った。「葉さん、朝食の準備ができました！」

葉淇はうなずき、そのまま食堂へ朝食を食べに行った。

蘇晚晴はソファに座り、葉淇の去っていく背中を見つめていた。

ふん、彼女はずっと外の女が陸厲沉に近づくのを警戒していたが、葉淇のことを見落としていた。

彼女がどうして忘れていたのか、葉淇はもう18歳になっていた。彼女はもう大人の女の子になっていたのだ。

でも大人になったからこそ、男女の区別というものを知るべきだ。

なのに彼女は沉くんと一緒に寝ていた。本当に恥知らずだわ！

蘇晚晴は唇を固く結び、目つきはますます凶悪になっていった。

馬鹿な子が蘇晚晴の男に手を出すなんて、本当に死にたいのね！

彼女はソファに座ったまましばらく呆然としていたが、陸厲沉はなかなか降りてこなかった。

蘇晚晴は少し苛立ち、腕時計を見て、立ち上がって階段を上がっていった。彼女は陸厲沉の寝室のドアを開けた。

広々とした部屋は空っぽで、陸厲沉の姿は見えなかった。

しかし、バスルームからざぁざぁと水の音が聞こえてきた。蘇晚晴は口元を少し上げ、大胆に中に入っていった。

自分は彼の婚約者なのだから、入るのは当然のことだ。

「淇、消毒ティッシュを持ってきてくれないか！」バスルームの中の陸厲沉は外の足音を聞いて、葉淇だと思い、当然のように声をかけた。

蘇晚晴は周りを見回し、テーブルの上から消毒ティッシュを取り、ドアを開けて中に入った。

バスルームでは、陸厲沉がすでに椅子に座っていた。彼は義足を拭いているところだった。