第13章 世話をしたくないのか？

今日締結する契約は数億円の資金に関わるものだが、1000億円の資産を持つ陸厲沉にとっては眼中にもなかった。

　　彼は隣の席坤をちらりと見て、淡々と言った。「今後は蘇さんとのプロジェクトの対応は君が担当だ。」

　　席坤はうなずいた。「はい、社長。」

　　蘇晚晴は顔を曇らせた。どういうこと？まさか助手に対応させるつもり？

　　彼女は陸厲沉の手を握り、懇願した。「沉くん、私はあなたと対応したいの…」

　　「時間がない。」陸厲沉はそう言うと、彼女の手を振り払って真っ直ぐ立ち去った。

　　蘇晚晴は彼の背中を見つめ、拳を握りしめた。長い爪が手のひらに食い込み、真っ赤な血が滲んだ……

　　夕暮れ時、空には大きな雲が浮かび、夕日に染まって血のように赤かった。

　　陸厲沉が最後の会議を終えたのは、すでに6時過ぎだった。