第338章 私は行かない…

陸厲沉は葉淇を見つめていた。

葉淇が振り向くのを見て、すぐに目を閉じた。

今は淇淇に目が覚めていることを気づかれてはいけない。もし気づかれたら、また冷たくされて追い出されてしまうかもしれないから。

陸厲沉は気を失ったままのふりを続けた。

足音が聞こえ、葉淇が彼に近づいてきた。

そして葉淇の小さな手が彼の額に触れた。「よかった、やっと熱が下がったわ」

葉淇はそう言いながら、ベッドの端に腰を下ろした。

陸厲沉の大きな手を両手で包み、諦めたような目で彼を見つめながら言った。「あなたって本当に最低よ。一体どうすればいいの?」

「ひどすぎるわ。最低最悪。もうあなたのことを愛すまいと決めたのに!」

その言葉を聞いて、陸厲沉は思わず目を開けそうになり、葉淇の手をぎゅっと握り返して、決して愛さないでいないでくれと懇願したくなった!耐えられないから!

でも何とか我慢して、そうしなかった。

だからこそ、葉淇の続く言葉を聞くことができた。「でもどうしてこんなにしつこく私にまとわりついて、厚かましいのよ!今のこれって、明らかにわざとでしょう?」

「わざと病気になって、私に心配させようとして……最低!」

陸厲沉は目を閉じたまま、気を失ったふりをしながらこれらすべてを聞いていた。

葉淇は彼のことを罵っているものの、その一言一言に愛情と心配が込められており、明らかに彼のことを忘れられないでいた。陸厲沉の心は喜びで満ちあふれていた。

そして彼を罵り、非難する言葉の裏には、実は彼への心配が隠されていた。

高熱で大量の汗をかいて服が濡れていることに気づき、しかも服が本当に汚れているのを見て、葉淇は不機嫌そうだった。

彼女は呟いた。「どうしてこんな状態になってしまったの?潔癖症のくせに。こんなに汚れた状態で、よく気を失ったままでいられるわね!」

この時、陸厲沉の点滴はすでに終わっていた。

葉淇は思い切って陸厲沉の服を脱がせ始めた。

彼女の小さな手が一つずつ陸厲沉の白いシャツのボタンを外していく……

目を閉じているため見えないせいか、かえって感覚が無限に拡大されているようだった!

陸厲沉は葉淇の小さな手が偶然彼に触れる時の温度をはっきりと感じ取ることができ、血液が逆流するような感覚に襲われ、体全体が硬直した。