第400章 陸厲沉が崖から落ちる

ジャックの命令の下、韓越と戦っていた狼たち、そして陸厲沉と葉淇を取り囲んでいた狼たちは、全て凶暴に陸厲沉だけを襲い始めた。

葉淇は身を挺して守った。

彼女は素早く金の針を放ち、狼たちの襲撃を阻止した。

その時!

ジャックは蘇晚晴の仇を討とうと、陸厲沉に向かって飛びかかってきた。

彼は光る短刀を手に、陸厲沉の首を切り裂こうとした!

「バン!バンバン!」

陸厲沉が連続で数発の銃を撃った音だった。

一発一発が狼に命中し、葉淇の放つ金の針と相まって、彼らに襲いかかってくる凶暴な狼の群れの攻撃を阻止した。

しかしその一瞬の隙に。

短刀を持ったジャックが突進してきた!

彼が凶悪に刃を振り回し、陸厲沉は危うく避けた。ジャックの思い通りに首を切られることはなかったが、ジャックの蹴りで手の銃を落とされてしまった。

ジャックは一撃を外すと、手の短刀を振り続けた。

彼は陸厲沉を殺そうとしていた!

この危険な状況下で、陸厲沉の危機を目にした葉淇は、血に飢えた大きな口を開けて彼女に襲いかかろうとする狼のことなど気にしていられなかった。

彼女は連続で二本の金の針を放ち、ジャックの両目に直接命中させた!

「あぁっ!」

ジャックは悲鳴を上げた。

彼の目は金の針に刺され、血の涙を流した。

彼は見えなくなった。この忌々しい女に目を潰されたのだ!

「お前を殺してやる!」

ジャックは憎しみを込めて叫び、狂ったように陸厲沉と葉淇の方向に突進してきた。彼は見えないため、手の短刀を無秩序に振り回していた。

そしてまさにその時。

「バン!バン!……」

連続した銃声が響いた。

韓越が発砲し、次々と葉淇と陸厲沉に襲いかかる狼たちを撃ち、そしてジャックを撃とうとした時。

もう遅かった!

葉淇を守るため、陸厲沉は前に立ちはだかり、狂乱状態のジャックに抱きつかれ、目の見えないジャックと共に崖から転落した……

「だめ!」

葉淇は叫びながら駆け寄り、崖っぷちまで来た。

彼女は陸厲沉を掴もうとしたが、もう遅かった。万丈の深い崖で、二人は落ちた瞬間に姿が見えなくなった。

駆け寄った葉淇もあやうく崖から落ちそうになった。

幸い、その時韓越も駆けつけ、葉淇を掴んだ。「お嬢様、そのままでは落ちてしまいます!」

しかし葉淇は構わなかった。