第445章 私は隣国の姫

葉淇に対して、今の段階まで来て、バッハは恨みと非難を感じていた。彼には分からなかった。これほど全てを捧げたのに、なぜこのような結果になってしまったのか?

以前の巴慈の死、そして今の青城城の崩壊、これら全て!彼はそれを葉淇のせいにすることはできないし、そうもしないだろう。しかし、陸厲沉は?葉軒は?

葉淇は確実にあの二人と同じ陣営にいるのだ。

今や彼はこのような深い恨みを背負っている。必ず陸厲沉と葉軒に全てを清算させなければならない!だから記憶喪失のままでいて、葉淇を認めないほうがいいのだ!

葉淇がこの島を去って二日目。

韓越は葉淇の命令通り、医者と貴重な薬材、様々な滋養品を持って来て、バッハの体調を整えた後、また去っていった。

これでよかった!

バッハは小屋に留まって傷の療養を続けた。

一週間余り後、彼の体調は大分良くなった。

ベッドから起き上がって歩けるようになった時、バッハはすぐに父親を探しに行った。

しかし、もう見つかるはずがなかった。

巴鞍はバッハほど幸運ではなく、たまたま漁師に救われることもなく、巴鞍は死んでしまい、とうに海の藻屑となっていた!

バッハは丸一ヶ月かけて探し続けた。

体調が少し良くなった時から始めて、毎日小舟に乗り、夜明けから、ずっと巴鞍の行方を探し続けた。

貝希は彼を諭した。「もう探すのはやめましょう!もし伯父様がご存命なら、とっくに見つかっているはずです!」

「それに、バッハ、もう私の父に聞いたでしょう?父があなたを海から救い上げた時、その周りにはあなただけだったんです!」

「おそらくその時には、伯父様はすでに……」

バッハはこの現実を受け入れたくなかった。「そんなはずはない!」

信じたくなかった。

しかし、信じざるを得なかった。

バッハはさらに二日間探し続けた。

今回は丸二日間、海上を漂い続けた。

そしてこの小島に戻ってきた時、バッハは病に倒れた。

高熱を出し、意気消沈し、そのまま死にかけた。

彼は全てを失った!巴慈は死に、青城城は完全に崩壊し、今や父までいなくなった!この罪人が生きていても何の意味がある?

バッハは、このまま死んでしまってもいいと思った。

本当に死にかけていた時、意識が朦朧とする中で、バッハは巴鞍の声が聞こえたような気がした。