第21章 どこから300万元を調達する?

「全部の費用を合わせると、おそらく300万円になるでしょう」

「300万円?!」この天文学的な数字を聞いて、夏智は驚愕した。

今、彼らの全財産を合わせても、5万円にも満たない。

毎月の生活費も2万円以内に厳しく抑えている。300万円は彼にとって、本当に手の届かない数字だった。

しかし、父親の体調はこれ以上先延ばしにできない。

ここ2年間、彼の状態は日に日に悪化していて、このまま続けば取り返しのつかない結果になるだろう。

加えて、腎臓の提供者を見つけるのは難しく、今やっと適切な提供者に巡り会えたのだ。この機会を逃せば、次にいつ手術ができるかわからない。

でも、どこから300万円を工面すればいいのか?

夏智は突然、ある方法を思いついた。彼は急いで医者に言った。「先生、少し考えさせていただけませんか?後ほど返事をさせていただきます」

医者は頷いた。「わかりました。よく考えてください。決心がついたら、まず入院費と手術費の一部を支払ってください。ただし、早く決断する必要があります。提供者を見つけるのは難しいので、この機会を逃すと、今後チャンスがないかもしれません」

「はい、できるだけ早く返事をします」夏智は頷いて約束した。医者が去ると、彼は夏星河に言った。「姉さん、この手術の機会を逃すわけにはいかない。僕、考えついたんだ。先輩は僕に会社で働いてほしがってるんだから、僕自身を会社に売り渡すんだ。先輩が同意してくれれば、僕たちは手術を受けられる!」

夏星河は病床の傍らに座り、昏睡状態の夏成武を見つめていた。

夏智の言葉を聞いて、彼女は顔を上げて尋ねた。「今、私たちにいくら残っているの?」

夏智は沈んだ声で答えた。「あまりないよ。さっき入院費を払ったから、今僕の手元に500円しかない……」

「ちょうだい」夏星河は手を伸ばした。

夏智は一瞬戸惑ったが、彼女が何をしようとしているのかわからなかったものの、残りのお金を全て彼女に渡した。

「あなたの銀行口座番号も教えて」夏星河はさらに要求した。

夏智は非常に困惑した。「姉さん、何をするつもりなの?」

「ちょっと用事を済ませてくるわ。もし銀行からの入金通知を受け取ったら、手続きを進めて」夏星河は率直に言った。