第36章 彼女が気に入った家

それで、楚天心は裏で何を見ていたのだろうか?

  とにかく、楚天心がどう説明しようとも、みんなの彼女を見る目が少し微妙になった。

  そして、彼女の高貴で優雅で清廉潔白なイメージも大きく損なわれた。

  その結果、楚天心は長い間人前に出るのを恐れ、毎日家で怒りを爆発させていた。

  数ヶ月かけて書いた原稿を失ったことについては、もはや彼女の心配の範疇ではなかった。

  しかし、彼女の状況がどうなったかについて、夏星河は全く気にしていなかった。

  彼女には今、他にもっと重要なことがあった。

  夏成武の体調の回復は早く、わずか2日で症状は大分安定した。

  ずっと献身的に世話をしていた夏星河と夏智も、ようやく安堵の息をついた。

  この数日間、叔父の世話に全身全霊を捧げるため、夏星河は長らく自分の身なりを整えることもなかった。