第177章 彼女は彼のことを全く気にしていない

夏星河はうなずいた。彼女はこのことを知っていたからこそ、ここで彼を待っていたのだ。

席牧白の車に乗り込むと、夏星河は彼について直接席家の古い屋敷へと向かった。

席牧白の祖父はまだ存命で、その老人に彼女は以前に一度か二度しか会ったことがなかった。

しかし、一度も言葉を交わしたことはなかった。

席牧白の祖父は非常に威厳のある人物で、今でも年齢が高くなっているにもかかわらず、その威光は依然としてすべての人を震撼させることができた。

夏星河が初めて彼に会ったのは、彼女と席牧白の結婚式の時だった。

当時、席家の人々は全員そこにいて、彼の前では息をするのも恐れていた。

ある女の子が年長者の会話中に失礼にも笑ってしまい、彼に鋭い目で睨まれただけで、その女の子は顔が真っ青になってしまった。

だから夏星河の彼に対する唯一の印象は、まるで帝王のように威厳のある人物だということだった。

そして今日、彼女は彼に向き合わなければならない。席家の最高権力者に!

席牧白もそのことを思い出し、彼女に注意を促した。「子供に会いたいと言えば、祖父は拒否しないだろう。でも養育権が欲しいなどと言わないでくれ。さもないと、おそらく永遠に子供に会えなくなるぞ。」

「自分の子供なのに、養育する資格すらないなんて、滑稽じゃない?」夏星河は冷ややかに問い返し、口調には自嘲の色が混じっていた。

席牧白は深い目で彼女を見つめ、率直に言った。「霖ちゃんが席家の子孫だからな。」

「席家がどうだっていいわ。私の息子よ。必ず取り戻す方法を見つけるわ。」夏星河は自信たっぷりに言った。

席牧白は彼女の口調が傲慢だとは思わず、むしろ興味深そうに眉を上げた。「そんなに自信があるのか?」

「成功は人次第よ。思い描くことができれば、何でもできるわ。」

「夏星河、お前のその性格は……」席牧白はわざと言葉を切り、そして口元を歪めて言った。「俺の好みにぴったりだ。」

しかし夏星河は目すら瞬かせなかった。

彼女は彼の彼女に対する見方など、少しも気にしていなかった。

車に乗った時から、彼女はずっと冷淡な表情を崩さず、少しの感情の起伏も見せなかった。まるで彼が彼女の元夫ではなく、二人の間には何の恩讐も縺れもなかったかのようだった。