第226章 あんなに悪辣な一面

しかし、この点については誰かがやってくれるはずだ。

  昨夜、彼女は楚天心にあれほど多くのことを話したので、楚天心はきっと夏星河を止める方法を考えるだろう。

  これらのことを考えると、雲若冰は得意げな冷笑を浮かべた。

  夏星河よ、たとえ能力があったとしても、結局は私の手で死ぬことになるのだ!

  そして今回は、私が直接対処する必要もなく、誰かがあなたを始末してくれる。

  楚天心がどのように復讐するか、見ていればいい。

  雲若冰以外に、楚天心の本当の姿を知っている人はいなかった。

  普段は善良で優雅な振りをしている楚天心だが、実は骨の髄まで甘やかされた小娘だ。

  一度、彼女の内なる甘やかされた小娘が解き放たれると、とてつもなく狂った行動をとるのだ。

  雲若冰も元々これらのことを知らなかったが、何年も前に楚天心の恐ろしさを目の当たりにしたのだ。

  あの頃、席牧白はまだ学生で、彼には彼のことが大好きな女子クラスメイトがいた。その女の子の両親は席家とも親交があったので、女の子はよく席家に遊びに来ていた。それは席牧白に会うためだった。

  楚天心は最初、純真で無邪気な振りをし、みんなと一緒にその女の子をからかっていた。

  しかし、みんなで野外キャンプに行った時、楚天心は遂に本性を現した。

  もし彼女が夜中にトイレに起きなければ、あんな悪意に満ちた一面を見ることもなかっただろう。

  当時、夜も更けて静かな中、楚天心は全員が寝静まった後、かごを持って密かに女の子のテントに毒蛇を放った。それも最も恐ろしいコブラだった。

  毒蛇は女の子を噛み、女の子の悲鳴は聞いていて鳥肌が立つほどだった。

  結果、楚天心はかごを持って悠々と自分のテントに戻り、口元には冷静な悪意に満ちた冷笑を浮かべていた。

  薄暗い月明かりの夜に、彼女のあの悪意に満ちた笑みは非常に不気味で恐ろしかった。

  雲若冰はその光景を思い出すたびに、背筋が凍る思いがした。楚天心の恐ろしさを目の当たりにしたからこそ、彼女も席牧白への思いを諦めたのだ。

  孤児である彼女には、楚天心と対抗する力はなかった。

  まして席牧白のために命を落とすなんて価値がない。