第268章 全く見知らぬ顔

「若奥様、大人しくしていただけませんか。さもないと薬を使わざるを得ませんよ」

  夏星河の目が一瞬光った。案の定、もう何も言わなくなった。

  丁おばさんとボディーガードは満足げに、彼女を押して素早く立ち去った。

  夏星河が病室を出るとすぐに、ここが市立第一病院だと分かった。

  通路には醫者や看護師、患者やその家族が行き交い、彼女を見かけた人々は皆、視線をさっと流すだけだった。

  誰も異常に気づいていない。

  しかし夏星河は細胞の一つ一つが違和感を覚えていた。

  目覚めてから、すべてがおかしくなっていた。でも、どう考えてもなぜなのか分からなかった。

  夏星河が考え込んでいる間に、彼らはついにエレベーターの前に到着した。

  エレベーターのドアが開いた瞬間、夏星河が中を覗き込むと、その瞬間、彼女は完全に呆然としてしまった!