第287章 数日間だけ奪いたかった

夏夢の心情はとても複雑で、夏星河の言葉の意味もわかった。

　　彼女たち二人は全く違うから、たとえ体を入れ替えても、彼女は彼女になることはできない。

　　夏星河も同じように輝くことができ、誰に対しても自分自身を証明できる。

　　つまり、人の魂がその人の魅力を決めるのだ。

　　夏夢は思わず自嘲気味に笑い、不思議そうに言った。「やはり人々は肉体を臭い皮と呼ぶんだね。本当に単なる皮に過ぎないんだ」

　　夏星河は瞳を少し瞬かせ、考えもせずに尋ねた。「だから君は自分の体が嫌いで、私と交換したかったの？」

　　夏夢は再び驚いた。

　　彼女は、自分のなんげなく言った一言から、彼女が彼女の心の内を読み取ったとは思わなかった。

　　「あなたは本当にすごいわ。私の直感は正しかった。あなたのことを知った時から、私はあなたがとても異質な女性だと感じていた」夏夢は彼女を見つめて言った。「あの時、私は理由もなくあなたを羨ましく思った。とても羨ましかった。そして、あなたのことをより深く知るにつれ、さらに羨ましくなった」

　　「私のどこが羨ましいの？」夏星河は冷笑した。「私に羨むところなんてあるの？！」

　　夏星河は本当に、自分に羨むべきところがあるとは思っていなかった。

　　彼女はすでに離婚し、両親を失い、何年も落ちぶれ、長年苦労してきた。

　　彼女の全ては苦労して得たものだ。

　　彼女のような人間に、何が羨ましいというのだろう？

　　だから夏星河は夏夢が病気としか思えなかった！

　　しかし夏夢は興奮して言った。「あなたにはわからないのよ！あなたから見れば、あなたはごく普通で、大したことないかもしれない。でも私はあなたよりもっと普通で、もっとダメで、もっと取るに足りない。私はあなたが困難から這い上がる勇気を羨ましく思う。自分の運命を変える能力を羨ましく思う。私はあなたの今の人生を羨ましく思う。なぜなら、それは私がこの人生で最も渇望していたすべてだから！」

　　「だから努力せずに手に入れたかったの？」夏星河は鋭く問い返した。

　　彼女の一言一言は短いが、すべて核心を突いていた。

　　夏夢の心に突然、罪悪感と自責の念が湧き上がった。「そういうわけでもない……ただ数日間だけ借りたかっただけで、あなたの人生を完全に奪おうとは思っていなかった」