夏星河はまた姿を消してしまい、どこを探しても見つからない!
意識を取り戻したボディーガードが深刻な面持ちで状況を報告した。「その時、建物が揺れるのを感じただけで、地震かと思いました。私たちは全員、夏さんを守るために駆けつけようとしましたが、すぐに気を失ってしまいました。」
席牧白は家の中の全てを調べ、表情は一層暗くなっていった。
「誰かが震動爆弾を使ったな」彼は冷たく言った。
ボディーガードは一瞬戸惑った。「それは確か軍が使用するものですが...」
その通りだ。この種の武器は國しか持っていない。通常、手に負えない犯罪者に対して使用される。
この武器には大きな殺傷性はないが、一定の範囲内で震動を起こし、人を気絶させることができる。
席牧白は、誰かが夏星河に対してこれを使うとは思ってもみなかった。
なぜ夏星河を狙うのか?
「すぐに葉深の状況を調べろ、今すぐだ!」彼は鋭く命令し、自身もパソコンで情報を検索し始めた。
相手は明らかに周到な準備をしていた。
周辺のネットワークは全て遮断されており、この別荘に誰が近づいたのかまったく調べられない。
当然、誰が夏星河を連れ去ったのかもわからない。
同時に、席牧白は葉深の死亡の知らせも受けた。彼は刑務所で首を吊って自殺したのだ!
朝方、夏星河が彼に会いに行ったばかりなのに、あっという間に死んでしまった。
彼が死んだだけでなく、夏星河も誰かに連れ去られた。
一体誰が彼の目の前でこれら全てを行ったのか?
誰であれ、相手の身分は間違いなく並大抵のものではない。
彼らは恐らく葉深が持っていたもの、つまりブラックボックスを狙っているのだろう。
この時、席牧白は連れ去られたのが夏夢の体で、本当の夏星河ではないことを非常に幸いに思った。
しかし夏星河の記憶は夏夢の脳の中にある。
だから彼はどうしても彼女を見つけ出し、彼女の安全を確保しなければならない。たとえ夏星河の記憶であっても、全力で守り抜かなければならないのだから。
そして夏星河は確実に何かを知っている。彼は事の真相を明らかにしなければならない。さもなければ危険は依然として存在し続ける。
全てを理解し、危険を完全に取り除いてこそ、彼は安心できるのだ。
しかし今、彼がすべき最も重要なことは、夏星河の体を守ることだ。