第403話 完了不可能なミッション

しかし、彼には選択の余地がなかった。少しでも主導権を握らなければ、勝つ可能性は低くなるばかりだった。

孫宇は勝つためなら、もはや面子など捨て去るつもりだった。

勝つためには、自分でさえ達成できない課題を出すことにした。

制限時間10分以内に、同時に10万個の一般IPアドレスに侵入すること。これができた方が勝者となる。

つまり、1分間に1万個のIPに侵入しなければならない計算だ。

1秒間に100個以上も侵入しなければならないということだ！

コンピューターに詳しくない人でも、この難しさは分かるはずだ。

そのため、彼が出した課題を聞いた閆逵たちは、一斉に罵声を浴びせた！

「くそっ、こいつ正気か？」

「孫、調子に乗るなよ。夏さんが出題を許可したからって、俺たちをバカにしていいと思うなよ！」

「孫宇、お前の要求は誰にもできないことだ。お前にだってできないだろう！」顧離も怒りに任せて叫んだ。できることなら、飛びかかって思い切り殴りつけてやりたかった。

席牧楠までもが品位を忘れて罵った。「封少煌、これがお前たちの態度か？こんなに負けず嫌いで、わざとこんな無理難題を出すのか？そんなに偉いなら、天にでも昇ってみろよ？」

「そうだ、天にでも昇れ！」閆逵も一緒に罵倒した。

孫宇は彼らの激しい反応を見て、かえって得意げに笑った。「お前らが出題しろって言ったんだろう？なんだよ、できないなら負けを認めろよ！」

「くそっ、お前を撃ち殺してやるぞ！」閆逵は怒りのあまり、銃を抜きかけた。

孫宇は無頼漢のように叫んだ。「できるものならやってみろよ、撃ち殺してみろよ、来いよ！」

「司令官、我々の軍を侮辱するこんなゴミは追い出すべきです！」閆逵はすぐに席牧楠に許可を求めた。

席牧楠は冷ややかに笑った。「許可する――」

「席牧楠、犬を叩くにも飼い主を見るものだ」封少煌が突然冷淡に言った。

席牧楠は皮肉を込めて言った。「狂犬に、そこまでの面子を立てる必要はない」

封少煌の表情が一瞬にして険しくなった。「私を軽んじているのか？」

席牧楠は少しも彼を恐れず、冷たく反撃した。「そう思いたいのなら、私にはどうしようもない」

二人の間に瞬時に鋭く恐ろしい空気が漂った。

二人の部下たちまでもが対峙し始めた。