第385章 なんだ、彼女か

封少煌はお茶を持つ手を急に止め、「誰だって?」

蘇梅は彼の反応に気づかず、軽蔑的に言った。「夏星河という女よ。どこから現れたのかしら」

蘇梅は夏星河を知らなかったが、封少煌は知っていた。

席牧白の元妻ではないか。

あの時、席牧白と一緒に対峙した女、あの見覚えのある目つきをした女。

封少煌は邪悪な笑みを浮かべた。そうか、あの女か。

席牧楠が夏星河まで雇うとは、あの女にはそれなりの実力があるようだ。

あの時の監視カメラの映像を覚えている。映像は確かに改ざんされていたはずなのに、それでも記録が残っていた。

おそらくあの女の仕業だろう。

あの女の素性を詳しく調べる必要がありそうだ。

欲しい情報を得た封少煌は、もはや蘇梅と戯れる気分ではなくなった。

腕時計を見て、淡々と言った。「用事を思い出した。先に失礼する。ゆっくり食べてくれ。会計は私が持つ」