第461章 夏さんが前で待っている

彼らの車が軍営から出て行くのを見て、バロンはすぐに釈放の手続きに取り掛かった。

山禾たちはすでにイヤホンを通じて、夏星河から全てを聞いていた。

バロンは予想通り彼らを即座に釈放し、山禾たちには少し現実味がないように感じられた。

しかし、彼らは確かに釈放された。

「これからは大人しくしろよ。俺に近づくなよ。さもないと命はないぞ！」釈放後、バロンは険悪な表情で脅した。

山禾たちは頷いて約束したが、心の中では軽蔑していた。

今は協力するしかない、全ては安全になってから考えることだ。

軍営を出ると、一台の車が彼らの前に停まっており、ドアが開くと中にいた傭兵が低い声で言った。「乗れ。夏さんの指示で迎えに来た」

山禾たち数人は素早く車に乗り込み、車はすぐに発進し、夜の闇の中に消えていった。

「司令官、本当にこのまま彼らを行かせていいんですか？」軍営の門で、バロンの副官が心配そうに尋ねた。

バロンは車が去っていく方向を冷たく見つめ、冷笑しながら言った。「そんなはずがない。安心しろ。奴らは一人も逃げられない。すでに天羅地網を張り巡らせてある。一網打尽にしてやる！」

「さすが司令官です」副官はお世辞を言って笑った。

バロンは再び陰険な笑みを浮かべた。彼を脅すとは、全員命はないぞ！

まるでバロンの考えを知っているかのように、車は直接この街から離れようとしていた。

「どこへ行くんだ？」車の中で、山禾は疑問に思って尋ねた。

運転している傭兵が答えた。「ここから離れる。夏さんが前方で待っている。ここは安全じゃない、もう留まれない」

「その通りだ。バロンは俺たちを見逃さない。必ず機会を見つけて全員殺すつもりだ」チャールズは重々しく言った。バロンの残虐さを誰よりも知っているのは彼だった。

彼らは彼の罪の証拠を握っている。だからこそ、彼は彼らを見逃すはずがない。

結局、死人だけが永遠に秘密を守れるのだから。

チャールズの傷だらけの姿を見て、山禾は歯を食いしばって言った。「安全になったら、奴を始末する方法を考えよう！」

「絶対にな！」オオカミさんも陰鬱な表情で言った。

バロンという危険分子は、彼らは放っておけない。

しかし彼らが予想もしなかったことに、バロンは今すぐにでも彼らを殺そうとしていた……