第514章 裁判を受ける

「彼女一人の力では警察の追跡から逃れられないはずだ。君が彼女の逃亡を手伝ったのではないか？」

「そんなことはしていません。あなた方がそう思いたいのなら、私にはどうしようもありませんが」席牧楠は淡々と答え、彼らの判断など気にしていないようだった。

「では、あなたは彼女と共謀して、武器の不法取引に関与していたのか？」

「そのようなことはありません」

「その発言にどれほどの信憑性があると思うのか？あなたには前科があり、夏星河とも頻繁に接触していた。昨夜は武器密売組織があなたを口封じしようとしたほどだ。決定的な証拠はないものの、あなたへの疑いは晴れない」

「それは純粋な中傷です。もし私にそれほどの疑いがあるのなら、なぜ私が有罪だと証明する真の証拠がないのでしょうか？」席牧楠は穏やかな笑みを浮かべながら反問した。

裁判官は眉をしかめ、「席牧楠、あなたも國の恩恵を受けた身だ。正直に話すことをお勧めする。法は必ず寛大に扱い、最も公平な判決を下すだろう」

「私の言葉は一言一句すべて真実です。最も公正な判決を下していただきたい」席牧楠は毅然として答えた。

法廷内に動揺が走った。

審理を通じて、席牧楠の態度は終始落ち着いていた。

もしかして本当に無実で、誰かに陥れられているのだろうか？

しかし、誰に彼を陥れるほどの力があるというのか？

裁判官はさらに審理を続けた。

席牧楠の答えは常に同じで、どう質問しても他の回答は引き出せなかった。

開廷から2時間が経過していた。

しかし席牧楠は相変わらず冷静で、不安や緊張の色は微塵も見せなかった。

傍聴席では、席おじいさんと席江年も彼と同様、毅然とした態度を保ち、席牧楠が裁判にかけられていることに恥じる様子は全くなかった。

林芸はしかし、次第に苛立ちを見せ始めていた。

彼女は声を潜めて封少煌に尋ねた。「これがあなたの方法？全く役に立っていないじゃない！」

席牧楠はまだ有罪にできず、これは彼女の望んでいたことではなかった。

封少煌は低い声で言った。「これでも上出来だ。私はあなたが思うほど万能ではない」

席家と戦うにあたって、彼は考えられる手段をすべて試みていた。

最初は席牧楠を確実に陥れられると確信していたが、計画が見破られて失敗に終わった。