「あなたじゃないって分かってる」夏星河は率直に言った。
封少煌は一瞬驚いた。
彼女がこんなに直接的で、しかも彼をこれほど信頼しているとは思わなかった。
彼は邪悪な笑みを浮かべて言った。「そんなに確信があるのか?」
「誰だか分かってるから」
「誰だ?」
「林軒よ」
封少煌の目が一気に鋭くなった。やはり林軒か!
彼は冷笑した。「林家の連中は侮れないな。人間じゃないってことだ」
あんなことをする奴は、確かに人間じゃない!
「どうして彼だと分かったんだ?」封少煌は少し身を乗り出して、低い声で尋ねた。
夏星河は冷たく言った。「彼に決まってる。証拠はないけど、私の判断を信じてる」
「また君に感心させられたよ」封少煌は惜しみなく褒めた。「君のそういう率直さと潔さが好きだ。夏星河、なぜもっと早く君と出会えなかったんだろう?」
封少煌は今や何も持っていない。死刑判決を受けるかもしれない。だから遠慮なく、思ったことを口にした。
そして、彼は本当に夏星河を気に入っていた。
もっと早く彼女と出会っていれば、この女性を手放すことはなかっただろう。
夏星河は無駄話をせず、直接尋ねた。「IVという組織のリーダーが誰か知ってる?」
「知らない。知っていれば、とっくに白状して罪を償っているさ」
「その人はどんな容姿なの…」
「分からない。彼に関することは何も知らない。すべての連絡は仲介者を通してだった」
夏星河の目に一瞬、失望の色が浮かんだ。この手がかりも途切れてしまった。
スターリバー計画の真相は解明できないのだろうか?
「私に会いに来たのは、それを聞くためか?」封少煌は問い返した。
「そう」
「目的は何だ?」
「知り過ぎるのは、あなたのためにならない」
封少煌は軽く笑って、話題を変えた。「席牧白は今どうしてる?死んだのか?」
「あなたが死んでも、彼は死なない」夏星河はそう言い捨てて、立ち上がって去った。
封少煌には明らかに感じ取れた。彼女が怒っているということを。
ただ席牧白の生死について言及しただけで、彼女はこれほど敏感に反応する…
なぜか分からないが、封少煌は不思議と席牧白を羨ましく思った。
……
すべての手がかりが途切れてしまったが、夏星河はまだ諦めていなかった。
彼女は直接フィリップにIV組織の首領の追跡を依頼した。