第616章 ようやく安心できた

夏星河の目は更に赤くなり、彼をほとんど呆然と見つめていた。

席牧白も深く彼女を見つめていた。

二人は百年、千年の離別を経て再会したかのように、互いを心を揺さぶられながら見つめ合い、まばたきすら惜しんだ。

まばたきをすれば、相手が消えてしまうのではないかと恐れていた。

夏星河はゆっくりと立ち上がり、彼をもっとはっきりと見たいと思った。

しかし次の瞬間、彼女は席牧白に引き寄せられ、全力で抱きしめられた!

席牧白の力は強く、まるで彼女を自分の体に溶け込ませたいかのようだった。

夏星河も思わず手を上げて彼を抱きしめた……

二人はそのまま静かに抱き合い、誰も言葉を発せず、ただ互いの息遣いと存在を無言で感じ合っていた。

今になってようやく、互いの不安な心が落ち着いた。

席牧白が事故に遭って以来、夏星河の心の中にはずっと漠然とした不安があり、彼に何かあるのではないかと心配していた。

席牧白も同じだった。

今、互いに無事だと確認できて、やっと安心することができた。

夏星河は思わず笑みを浮かべ、好奇心に駆られて尋ねた。「いつ目覚めたの?」

「今日だ」

「……」夏星河の目が急に揺らいだ。

今日目覚めたばかりなのに、すぐにここに駆けつけて、さらに彼女を救ったのだ。

どれほどの意志力を使えば、こんなにも元気で平気な様子を保てるのだろうか?

体が完治していないのにこんなに動き回って、夏星河はすぐにまた不安になった。

彼女は急いで彼を押しのけて言った。「私は大丈夫だから、早く出ましょう」

「ああ!」席牧白は彼女の手をしっかりと握り、彼女を連れて外へ向かった。

確かにここは話をする場所ではなかった。

そして今、彼は夏星河を病院に連れて行って検査してもらいたかった。彼女が怪我をしているのではないかと心配だった。

夏星河は席牧白について地下室から出て、壊された壁も目にした。

なるほど、黒幕は本当に彼女を見捨てて、完全に閉じ込めて死なせるつもりだったのだ。

しかし残念ながら、その計画は失敗に終わった!

そして彼女は、自分の命を狙った者を決して許すつもりはなかった。

夏星河の目の奥に、すばやく鋭い光が走り、すぐに所謂黒幕が誰なのかを悟った。

大統領夫人を見た瞬間、彼女は察した。