夏星河と席牧白は少し驚いた。
おじいさんが自ら二人の結婚式を開くことを提案したのだ。
席牧白は笑って、「いいですね、私は異議ありません」と言った。
「……」夏星河は、自分が異議を唱えるべきなのだろうか?
席おじいさんは彼女の返事を待たずに、即座に決定を下した。「よし、これで決まりだ。その時は皆を結婚式に招待しよう。我が席家も久しく慶事がなかったから、お前たちの結婚を機に祝おう、はは……」
席家で慶事が行われることを考えると、席おじいさんはとても喜んでいた。
席牧白も同様に喜んでいたが、夏星河は特に反応を示さなかった。
席牧白は彼女のその様子を見て、少し心配になった。
おじいさんが休みに行った後、席牧白は夏星河の手を握り、不安そうに尋ねた。「どうしたの?まだ私と結婚するかどうか決めていないの?」
「ただ、まだ結婚のことを考えていなかっただけです」夏星河は正直に答えた。
席牧白の心配は少し和らいだ。「じゃあ、今から考えてみませんか。私は急かしたりしません。これらのことが落ち着いてから答えを聞かせてください。その時に改めてプロポーズします。もし承諾してくれたら、再婚しましょう。まだ決められないなら、ゆっくり進めていけばいいです」
彼はいつもこんなに思いやりがある。
ほとんど彼女に何かを強制することはない。
彼がこうであるからこそ、夏星河は断り方が分からなくなった。
でも、断る必要もないようだった。彼女はただ結婚に一歩踏み出すことを少し恐れているだけだった。
そして今の二人の関係はとても良好で、彼女は何故か結婚後に全てが変わってしまうことを恐れていた。
傷つくことを恐れているわけでもなく、席牧白の心変わりを恐れているわけでもない。
全てが制御不能になることを恐れ、そのような濃密な感情に適応できないのではないかと心配していた……
夏星河は生まれつき感情を抑制する性格で、あまりにも露骨な感情表現には適応できないだろう。
しかし、この人生で彼女が選ぶのは席牧白しかいないだろうし、結婚しないというのも筋が通らない。
夏星河は頷いた。「はい、その時に答えを出します」
今は、少しずつ心の準備をしていこう。